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空き地空き家の流動化につながるのか?相続登記の義務化の動向

2025.04.27

相続登記の義務化が空き家・空き地の流動化を促す理由とは?

相続登記が義務化され、2024年4月より新制度が施行されました。これにより、所有者不明土地の増加が抑制され、不動産の流通が促進されると期待されています。相続登記を行わず放置していると、過料(罰則)対象となり、売却や担保利用も制限されるリスクが高まります。本記事では、相続登記の義務内容、登記を放置した際の具体的なデメリット、そして空き地・空き家の流動化にどうつながるのかを法人向けにわかりやすく解説します。


1. 相続登記義務化の背景と施行概要

所有者不明土地が増加する構造的問題

  • 法務省の地籍調査によれば、日本の土地の2割以上が所有者不明土地
  • その原因の6割以上は相続登記の未実施

新制度の概要(2024年4月施行)

義務対象内容
相続登記相続人が相続を知った日から3年以内に登記義務
住所変更登記住所変更から2年以内に登記義務
違反時相続登記:過料10万円以下/住所変更登記:過料5万円以下

【出典】法務省「不動産登記制度の見直し(相続登記義務化等)」:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html

2. なぜ今まで相続登記がされてこなかったのか?

  • 地方や山林など、経済的価値が少ない不動産では、費用対効果が見込めず放置
  • 登記費用・戸籍取得・司法書士報酬などが手間・コストの壁
  • 数次相続が進み、相続人が数十人に膨れ上がる事例も

3. 空き家・空き地流動化へのインパクト

登記がなければ売れない・貸せない

  • 登記未了=所有権の証明が不十分
  • 不動産取引、相続人間のトラブルの原因に
  • 売買・担保設定・再開発計画が進まない

義務化により「所有者が明確化」されることで期待される効果

  • 空き地・空き家のマッチング事業(例:空き家バンク)の活性化
  • 国・自治体による公共事業・利活用が進む
  • 山梨県内でも中山間地の放置空き家対策が実現しやすくなる

4. 放置リスクと法人が留意すべき点

登記放置による主なリスク

リスク内容解説
相続人の増加時間が経つほど分割協議が困難に
債権者による差し押さえ相続人に借金がある場合、他の相続人にも影響
流通不可名義不明では売却・担保設定ができない

民法909条の規定により、登記されないと第三者への権利主張が困難です。

5. 相続登記の義務化対応策とサポート制度

簡易制度:相続人申告登記(2024年創設)

  • 正式な分割が未了でも、「相続が発生した事実」を届け出ることで義務履行扱い
  • とりあえず登記し、正式な相続は後で調整可能
  • 費用も抑えられる

相続土地の国庫帰属制度

  • 管理負担が重すぎる土地は、法務省へ申請して手放すことが可能
  • 要件あり(境界紛争・汚染土壌などは不可)
  • 10年分の管理費用相当額の納付で帰属可能

6. 実務対応:法人・所有者が今できること

必要書類と費用の目安

書類概要
戸籍謄本一式被相続人の出生〜死亡/全相続人分
住民票/除票住所確認用
固定資産税評価証明書登録免許税算出用(評価額×0.4%)
登記申請書所有者情報等の記載が必要
委任状司法書士へ依頼する場合

目安費用:登記申請自体は数千円~/司法書士依頼時は報酬数万円~10万円程度

7. 山梨県内での活用促進と行政支援の状況

  • 甲府市・笛吹市・南アルプス市などで空き家バンク制度あり
  • 山梨県では、法務局・司法書士会と連携した相続登記無料相談会も随時実施中
  • 【要注目】令和6年度中に**「空き家利活用推進条例(仮称)」**の動きも一部自治体で検討中(2025年4月時点)

まとめ:登記義務化は「空き家対策の入口」

  • 相続登記を放置すれば売却も管理もできない
  • 義務化により、空き家・空き地の流動化が現実的に進む
  • 法人や所有者は、早めに専門家と連携し、将来的な資産戦略の一環として登記を整理することが重要

参考リンク・支援制度

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